むかわ町 観光案内 スペシャルコンテンツ
奥さんと中学生の娘は大の仲良しで、二人でどこかへ出かけるのが週末パターンだ。そんなとき、僕はぶらり一人で旅に出る。むかわ町には、どんな出会いと発見があるのだろうか?
アイドルのライブを観に東京へ行く奥さんと娘を送って新千歳空港。まっすぐ帰るのもつまらないな。今日は一人を満喫する日だ。目的のない旅へ出かけよう。
何も考えずに車を走らせた。行き当たりばったりの旅もいいものだ。車は、気が向くまま日高方面へ。朝ごはん食べてないし…腹が減った。
むかわ町か、ししゃもが有名だよなあ。恐竜で有名な穂別もむかわ町か。通ったことはあるけど、どんなまちなのか?ちょっと寄ってみるか。
初めてのまちだから、まずは道の駅へ。ここには温泉があり、朝風呂もやっているらしい。ひとっ風呂浴びるのもいいが、朝ごはんが先だ。
「鵡川」が流れているから、むかわ町なんだ。鵡川は、全国でも屈指の清流らしい。特産品のししゃもは、その恵みなんだな。
ししゃもねこ…むかわのゆるキャラかと思ったら、
徳島生まれのキャラで、全国で活動してるとか。なぜ徳島?なぜ猫?
道の駅にあるむかわの特産品の中から見つけた「北海道恐竜拉麺」。おお!インパクトある!そして、なんと恐竜エキス入り!笑
道の駅の駐車場から、おしゃれな感じのブルーの建物が見えた。住宅街のようだけど、住宅なのか? お店なのか?もしかして穴場スポットかも。とりあえず近くまで行ってみよう。
riccio…トラットリアらしい。朝営業しているのか。朝ごはん、ここにしよっかな。
10:00まで、朝riccioやってる!軽くトーストセットにするか。
ブルーを基調にした感じのいいお店。シェフの萬真理絵さんとお母さんの悦子さんがふたりで営んでいる。店名のriccioは、イタリア語の「ハリネズミ」という意味で、イタリアでは「幸せを呼ぶ動物」として愛され、出会うと1日がハッピーになるという。
厚切りトーストとゆで卵、チーズ、ハム。モーニングセットって何年ぶりだろう?食パンは札幌のおかめや、コーヒーは札幌のあかねや珈琲店から仕入れているとのこと。
はちみつをたっぷり塗って一口。外はカリッ、中はしっとり、香ばしい小麦の味が広がる。挽きたてのコーヒーの程よい苦味が心地いい。
シェフの真理絵さんは、札幌のイタリア人シェフの店で5年間経験を積み、6年前にこのお店をオープンしたという。新鮮野菜など地域の食材にこだわり、ランチには3種類のパスタが楽しめる。
オッと、ここにもハリネズミ。今日の幸せを呼んでくれるかな?今度はパスタを食べに来よう。
riccioを出て、ぶらりJR鵡川駅に行ってみた。2021年に鵡川―様似間の路線が廃止されたため、この駅は日高本線の終着駅だとか。
跨線橋に上り、列車を眺めていると、線路の奥に終端に設置された車止めが見える。鉄道はその先の線路を失い、列車はこの駅を折り返すしかない。物語の終わりのような寂しさを感じた。
まちの中心部に「ぽぽんた市場」という特産物直売所があると聞き行ってみた。外には「ししゃも」ののぼりがズラリ。やはり本場のししゃものうまさは違うのかなあ?
館内に入ると、ししゃもの品揃えの豊富さが目についた。「おいしいから食べてみてください」とスタッフの女性にすすめられ、試食してみるとこれが美味!ししゃもの旬は10〜11月だが、今の時期は「上干(じょうかん)」という水分が抜けてうま味が凝縮した、生や生干しとは違う味わいを楽しむのが醍醐味だという。
次に目についたのがどどーんとホッキ貝。むかわはホッキ漁が盛んで、冬場に旬のうまさが味わえるという。一袋手にしてみるとズシリと重い。そして直売ならでは、めちゃめちゃ安いではないか!刺し身、バター焼き、フライ…どれもうまいんだろうなあ!
農産物の方を見ると、ニラがどっさりと入荷していた。話を聞くと、ニラはむかわ町の冬の特産品で、葉肉が厚く甘みが強いのが特徴だという。生産者を見ると「小坂農園」のシールが。
ニラのほかにも、米、味噌、麹など、小坂農園さんの商品がたくさん並んでいる。地元でも有名な農家さんだろうか?購入して、家でそのうまさを確かめてみよう!
ししゃもは、旬を迎える10〜11月頃だけ生で味わえる。「大豊寿司」はししゃも寿司を世に出した元祖のお店と聞き、昼食はここで贅沢しようと決めた。
※ 大豊寿司は2024年11月17日にて閉店しております。
大将の鈴木さんは、このお店の2代目。ししゃも寿司は、先代が始めて名物となった味わいで、さすがに冬には食べることができない。では、今回は奮発して特上の握りを注文した。
ウニ、イクラ、カニ、エビ、ホタテ、マグロ…脂ののったネタの良さは格別だ。北海道産のネタを中心に揃えるという鈴木さんの技とこだわりが生み出すうまさを堪能できる。
ごちそうさまでした!
今年の秋は絶対にししゃも寿司を食べに再訪します!
寿司でお腹を満たしたので、もう少し足を伸ばしてみようと、「穂別博物館」を目指してみた。穂別はもともと独立した町で、2006年にむかわ町と合併したエリア。
むかわの中心部から1時間ほどの道のりだ。
穂別方面に車を走らせていると、おお!「小坂農園」の看板を発見!ぽぽんた市場で見つけたニラや米などを生産している農園だ。直売所とかやってないかなあ…しばらく車を停めていると、向こうから関係者らしき人が近づいてきた。「こんにちは、小坂さんですか?」と思わず声をかけた。
ぽぽんた市場で生産品を購入したことを話すと、「ニラのハウスを見ていきますか?」と小坂さんは案内してくれた。ハウスに入ってみるとモワッと暑い。ニラの匂いが強く香る。「作業していると匂いがわからなくなるけど、体に染みつくんだよねえ」と小坂さん。
ニラは冬季間に3回収穫し、今は2回目を育てている最中だという。「ニラは、11月後半頃に枯れて冬眠に入り、枯れた葉を取り除くとじっくり育ち、1月に1番ニラの収穫を迎えるのです」と小坂さんは教えてくれた。冬のニラは色合いも濃く、甘い。家に帰って料理をするのが楽しみだ。小坂農園では、春はアスパラ、夏〜秋はかぼちゃ、ブロッコリー、米、生姜などを収穫するという。突然の素人の来訪にも快く応じてくれた小坂さん、本当にありがとうございました!
穂別地区に入ると、看板やモニュメントは“恐竜一色”に。1975年にクビナガリュウの化石が発掘され、1982年にその化石を展示した博物館を開設したことから穂別は「恐竜のまち」として知られるようになった。
エントランスに入ると、博物館開設のきっかけとなったホベツアラキリュウ(クビナガリュウ)の全身復元骨格が目を奪う。これは海に棲んでいた長頸竜(ちょうけいりゅう)という動物で正確には恐竜とは呼べないらしい。
穂別博物館の展示の中で最も貴重なのはカムイサウルス・ジャポニクス。これは2003年に骨化石の一部が発見され、そこから10数年の間に全長8mの全身の約8割が発見され保存されている日本屈指の恐竜化石ということだ。
穂別博物館ではスペースの関係で全身の実物化石を展示できないが、一部の化石と全身復元模型が展示されている。むかわ町では博物館を建て替える計画があり、新設されたらカムイサウルスの全身化石が展示されるだろう。
むかわ町のホームページを見ると、観光関連施設の中に穂別ダムが記されていた。実は、私、隠れダムマニア。ダムがあると行きたくなるんだな。しかし、ダムに行ってみると、進入禁止の看板が。水面は雪に覆われ、残念ながら絶景を楽しむことはできなかった。
でも、ふと山の方に目を向けると、山肌に動くものが見えた。なんとエゾシカたちが山の斜面で遊んでいるようだ。エゾシカを見ることはあるけど、このような光景は初めてのこと。楽しげに(楽しいかどうかはわからないが)走り回っている様子を見て、なんだかほっこりとした気持ちになった。
さて、そろそろ帰ろうか。エゾシカに別れを告げて、夕張方面に車を走らせた。
自宅に着いて、早速調理に取りかかった。奥さんと娘がいないので、ひとり飯を楽しもう。
まずはホッキ貝の刺し身。噛むほどに甘みと旨みがあふれ出す。この味わいは、むかわ産ならではだろう。
合わせるのは、むかわ産の米「ななつぼし」を原料に、秋田の酒蔵が製造した純米吟醸酒「鵡川」。フルーティーな香りと甘みが、一瞬でキリッとした辛口に。ホッキ貝との相性が抜群だ。
もう一品は、ホッキ貝のペペロンチーノに。ニンニクとオリーブオイルが絡み、全く別な印象の味わいになった。
次の日には、帰ってきた奥さんと娘にホッキカレーを供した。貝の旨みとカレーの辛さが絶妙にマッチし、大好評だった。
小坂農園が育てたニラは、ニラ玉に。冬のニラは甘いという小坂さんの言葉を実感した。
ニラの食感を味わうなら、ニラそばも絶妙だ。シャキシャキした旨さがシンプルに楽しめた。
そして、ししゃもとおにぎりで〆る。上干のししゃもはうま味が凝縮して、実に味わい深い。おにぎりには博物館で買った恐竜ふりかけをまぶしたが、ガツンとくるニンニクの風味に、サクサクのゴマの食感も相まってなかなかの美味。
もっともっと、
うまいものに出会えるはずだ。